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第5回 アマルフィ海岸自治体の持続可能性基礎調査 2016-6
A Survey on Sustainability of Costiera Amalfitana Comune

真冬のアマルフィ海岸を行く


聖三位一体ベネディクト会修道院20
ABBAZIA BENEDETTINA DELLA SS.TRINITA di Cava de' Tirreni

訪問17 図書館・修道院寄宿舎など

    青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
  2020年9月30日 独立系メディア E-wave Tokyo  無断転載禁

 2013~2016年アマルフィ海岸現地視察調査報告<256本 全体メニュー>

ベネディクト修道院1   ベネディクト修道院2   ベネディクト修道院3   ベネディクト修道院4
ベネディクト修道院5   ベネディクト修道院6   ベネディクト修道院7   ベネディクト修道院8
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ベネディクト修道院17   ベネディクト修道院18  ベネディクト修道院19   ベネディクト修道院20

    
アマルフィの位置     ベネディクト会  カーヴァ紋章  イタリア国旗

 以下は教会・修道院の図書館です。


SantissimaTrinitàdiCava修道院のアーカイブ(修道院の図書館)
Souce:Wikimedia Commons
Pubblico dominio, Collegamento

 ◆図書館と蔵書の詳細解説

   修道院の図書館には多数の印刷物(インキュナブラ)とともに、8万冊
   以上の文書と重要な16世紀の図書があります。各巻や冊子は、登録
   され3つの部屋に整理されています。これらの中で最も代表的な学問
   の分野は聖師父学*、神学、法学、そして何よりも歴史学でした。

  注)インキュナブラ
    インキュナブラ(incunabula、単数形はincunabulum)は、西欧で作られた
    最初期の活字印刷物のことであり、15世紀(グーテンベルク聖書以降、
    1500年まで)に活版印刷術を用いて印刷されたものを指す(本だけでは
    なく、一枚物(ブロードサイド broadside)も含む)。揺籃印刷本、インクナ
    ブラともいう(incunabula はラテン語でゆりかごの意味)。
    『Facta et dicta memorabilia』Valerius Maximus 作の一頁。Peter
    Schöffer (Mainz, 1471)による印刷で、頭文字Uがルブリック(赤題目)され、
    蔵書印 "Bibliotheca Gymnasii Altonani" (Hamburg)が押されている。
    1455年にグーテンベルクによる「グーテンベルク聖書」が出版されてから、
    およそ半世紀の間に、ヨーロッパ各地の都市(ドイツ、フランス、イギリス、
    イタリア、ネーデルラントからスウェーデン、スペイン、ポルトガル、コンス
    タンティノープルなどまで)に活版印刷術が伝わり、 約4万版が刊行され
    たという。キリスト教関係の本や人文主義者の著作などがある。中には装
    飾写本を模して手書きで彩色をほどこしたものもある。 なお、フィレンツェ
    で最も数多く出版されたのは、15世紀末のサヴォナローラの説教であった。
    インキュナブラとされる古書の3分の1は、印刷した事業者、著者、挿絵画
    家について名前すら書かれていないか、書かれていてもほとんど無名の
    者によるものであった。今日、印刷者についてはプロクター・ヘーブラー法
    で判定される。この方法では印刷活字の"M"をリスト化したヘーブラー表と
    比較することによって印刷者を判定する。また、ページ数、版画の規格など
    によって、その他の情報が得られることがある。
    ヨーロッパの歴史ある図書館では、インキュナブラ(あるいはそれ以前の写
    本)の所蔵数で歴史的価値が判定され、また、古書蒐集家はインキュナブラ
   を何冊持っているかを競うことがある。

  注)聖師父学 wikipediaより
   聖師父学(ラテン語: Patristica, ギリシア語: Πατρολογία, ロシア語:
   Патристика, 英語: Patristics or Patrology)とは、使徒時代直後
   (2世紀初頭頃)から、七回の全地公会議の時期に至るまでの聖師父(教父)
   について探求する学問領域。20世紀以降、特に正教会において盛んになった。
   教父神学、教父学とも訳される。

   著者についての登録があると、(それらの文書の)鑑定が容易になります。
   しかし、修道院を有名にしたのは保管されている公文書/古文書です。
   18世紀末に造られた2つのとっても優美な部屋には、貴重な羊皮紙と紙の
   文書が保存されています。15,000を超える羊皮紙のうち最も古いものは792年
   からのものであす。この他に、かなりの数の紙の文書があります。

  コーデックス原稿(羊皮紙の原稿)のなかには、印刷された登録簿(カタログ)
  が今も完璧なかたちで利用でき、まもなく紙の原稿の登録簿(カタログ)も作成
  されます。最も有名な写本の中には、9世紀のヴィシゴシックの(西ゴート族の)
  聖書(Visigothic Bible)、11世紀のランゴバルド王国の法学(Codex Legum
  Langobardorum)、8世紀の聖イシドールによる「語源」(Isidore Etymologiae)、
  そして8世紀の聖ベデによるテンポリブス「暦について」(Beda, De Temporibus
  del Ven)等があります。その余白部分(欄外)には、修道僧たちが修道院にとっ
  て最も重要な行事や当時の世界の出来事などを記していました。
  これらの欄外の注書きは、繰り返し出版された年代記(Annales Cavenses)の源
  となりました。羊皮紙については、検証された文書が年代順に整理され、120枚
  の羊皮紙が入った箱の置いてある来客用ホールに並べられています。700を超
  える数の公文書(教皇勅書、皇帝や王、封建領主等の勲記など)が年代順にア
  ルカ・マグナ(arca magna=大きな箱)の中で発見されています。

  
注)Annales Cavenses
   南イタリア、サレルノ県のカーヴァデティッレーニにあるラトリニタデッラカ
   ヴァ修道院で編纂された年代記です。これは、568年から1318年に及ぶ分析的
   な見出し(entries)で構成されています。つまり、基本的には中世イタリア全体の
   期間を対象としています。


  前世紀の僧侶たちによってバラバラだった8巻の写本がまとめられて、羊皮紙に
  登録(Regestum Pergamenarum)されたことによって学者たちの鑑定は容易にな
  りました。すべての羊皮紙(に書かれた文書の)の要約があり、それらがどの箱
  に収められているが示されています。既にCodex Diplomaticus Cavensisで公開
  されている文書は、792年から1080年の間のもので、正確に1669年のものもあり
  ます。研究者・学者のためのものである図書館と公文書・古文書の利用は、平日
  の8:30から12:30までとなっています。


 Source:
 http://www.badiadicava.it/index.php?option=com_content&view=category&layout=blog&id=11&Itemid=14



Source: ABBAZIA BENEDETTINA DELLA SS.TRINITA di Cava de' Tirreni



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 以下は修道院の寄宿舎です。


Source: ABBAZIA BENEDETTINA DELLA SS.TRINITA di Cava de' Tirreni



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 ◆修道院での常に脈打つ人生(修道院における修道者の生活)

  ベネディクト会の僧侶の生涯は、「祈りと仕事(Ora et Labora)」という
  モットーに集約されます。家族と暮らすように、修道院で一生生活する
  という彼の選択は、神の眼差しの下で祈り、働くことを意味します。彼に
  とって、修道院は神の家なので、まるで教会のように装飾の手入れを
  行います。修道士たちの存在理由は、神の探求、つまり、神と兄弟た
  ちへのこれまで以上の大きな愛です。そこで、彼の活動をある方向、ま
  たは別の方向に向けさせるのは環境であり、あるいは特定の生活態度
  なのでしょう。
  典礼の厳粛な祝典は常に修道院の活動の原点であり、教会全体の名
  において神の栄光に報いることを意図して行われます。これについては、
  すでに見てきたように、過去数世紀にわたり、カヴァ修道院は、信頼を
  ゆだねてきた人々に報いるため、慈善活動と福祉活動、そして政治と防
  衛という多面的な活動を行ってきました。また、研究や規約(会則=Code)
  の神意(摂理)による転写(写本)と保存も蔑ろにされることはありません
  でした。
  今日では状況が変わりました。州は、人々の政治と防衛に責任を持って
  います。慈善活動は、専門の現代宗教会衆によって行われています。した
  がって、修道院はその社会的活動を信者、特に修道生活をする信者たち
  (Oblate)、すなわち、社会に暮らしている間に、特定の義務を担って、大
  家族の一員ととなるキリスト教徒(クリスチャン)の精神的な支援に向けて
  ています。

   
注)オブラーテ
    〔カトリック〕1修道生活献身者《中世にあった慣習で俗信徒だが修道院
    に受け入れられ信仰生活をする人》 2在俗司祭だが司教のもとに共住
    生活を営む者


  人数に制限がありますが、壁の中で数日間の瞑想と祈りの日々を過ごしたい
  ゲストを受け入れます。修道院はこれまで、一般信者のための大学設立を通
  じて、若者の教育と指導についての活動を行ってきました。最終的には、修道
  院は研究を好み、その公文書・古文書図書館の宝物をヨーロッパやアメリカ中
  からそこに集まる学者たちが利用できるようにします。

  特別な適性を持っている修道僧は、たとえ控えめであっても、彼の才能の発達
  に適した環境を修道院で見つけます。そのため、修道僧には教授、画家、法典
  や写本の修復者、また、料理、動物や菜園の世話をする修道僧もいます。彼ら
  はすべて、父である修道院長によって代表される単一の家族、神の家族を形成
  しているのです。
 Source:http://www.badiadicava.it/index.php?option=com_content&view=article&id=10&Itemid=10
 


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本稿はこれで終わりです。